まぐ太の金融と経営の扉

金融や経営に関することを書いていきます

組織のパフォーマンスを高める方法は?Googleの「Project Aristole」に学ぶ

Googleは「Project Oxygen」というリサーチプロジェクトによって「優れた上司の条件」を突き止めました。

詳細はこちらをご参照ください。

www.magta.net

その後Googleでは「効果的なチームの特徴」を明らかにするためにリサーチを実施しました。このプロジェクトの目的は「効果的なチームを可能とする条件は何か」という問いに答えを見つけ出すことでした。

私もチームパフォーマンスを向上させるために、日々悩んでいます…。答えが明確でない”人”の集まりがチーム、どのようにマネジメントしていくべきか、迷路を彷徨っているような感覚です。

進むべき方向の道標となるヒントが、Googleの調査から得られればと思います。

「チーム」とは何かを定義する

まずはじめに「チームとは何か」を明確にする必要がありました。Googleは最も根本的なレベルとして「ワークグループ」と「チーム」の区別を試みました。

ワークグループ

相互依存性が最小限という特徴があり、組織または管理上の階層関係に基づいている。ワークグループのメンバーは、情報交換のために定期的に集まる場合があります。

チーム

メンバーは相互に強く依存しながら、特定のプロジェクトを遂行するために、作業内容を計画し、問題を解決し、意思決定を下し、進捗状況を確認します。チームのメンバーは作業を行うためにお互いを必要とします。

「効果的なチーム」とは何かを定義する

「効果的なチーム」とはどういうものか?をはっきりとさせるために、Googleは下記の4つの指標を組み合わせ、チームの効果性を総合的かつ的確に把握するように調査を行いました。

  • マネージャーによるチームの評価
  • チームリーダーによるチームの評価
  • チームメンバーによるチームの評価
  • 四半期ごとの売上ノルマに対する成績

効果的なチームで重要視されていた5つの力学

調査の結果、真に重要なのは「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」でした。チームの効果性に影響する5つの力学を見ていきます。

1.心理的安全性

心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取った時の結果に対する個人のん認知の仕方です。「無知・無能・ネガティブ・邪魔などと思われる可能性のある行動をしてもこのチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味しています。心理的安全性の高いチームは他のチームと比べて、リスクを取ることに不安を感じない、自分の過ちを認める、質問する、新しいアイデアを披露するなど、仕事に対して意欲的チャレンジをしても、誰も自分をバカにしたり罰したりしないということが信じられる余地があります。

チームからの意見やアイデアを求めたり、個人的な仕事の進め方の好みをチームメンバー内で共有することで、構築されていきます。

2.相互信頼

相互信頼の高いチームのメンバーは、クオリティの高い仕事を時間内に仕上げることがわかりました。これに対し、相互信頼の低いチームのメンバーは責任を転嫁する傾向にあるようです。

各チームメンバーの役割を責任を明確にする、仕事に透明性をもたらす具体的なプロジェクト計画の策定などが具体的なアクションとなっています。

3.構造と明確さ

効果的なチームを作るには、職務上で要求されていることを、「その要求を満たすためのプロセス」、「メンバーの行動がもたらす成果」について、個々のメンバーが理解していることが重要になります。目標は個人レベルで設定することも、グループレベルで設定することもできますが、具体的で取組がいあり、なおかつ達成可能な内容でなければなりません。Googleでは短期的な目標と長期的な目標を設定してメンバーに周知するために、「目標と成果指標(OKR)」という手法が広く使われているようです。

具体的には、チームの目標を定期的に周知し、目標達成のための計画をメンバーに理解させます。また、チームでミーティングを開く際には、明確な議題を設定し、リーダーを指名します。

4.仕事の意味

チームの効果性を向上させるためには、仕事そのもの、またはその成果に対して目的意識を感じられる必要があります。仕事の意味は属人的なものであり、経済的な安定を得る、家族を支える、チームの成功を助ける、自己表現するなど、人によってさまざまです。

チームメンバーが効果的に行っている取り組みに対して、好意的なフィードバックを提供し、メンバーが議題に直面している場合は手を差し伸べます。誰かが自分を助けてくれた場合には、メンバーの前で感謝の気持を伝えます。

5.インパク

自分の仕事には意義があるとメンバーが主観的に思えるかどうかは、チームにとって重要なことです。個人の仕事が組織の目標達成に貢献していることを可視化すると、個人の仕事のインパクトを把握しやすくなります。

各チームメンバーの仕事やチームや組織の目標達成に貢献するような明確なビジョンを共同で策定します。自分やチームの仕事がユーザーや顧客、組織に与える影響をよく考えます。またユーザー目線で物事を評価する仕組みを導入し、ユーザーに焦点を当てることで、インパクトという部分については効果性を発揮できると考えます。

パフォーマンスにそれほど影響がなかったこと

今まではパフォーマンスにいい影響を与えることを書きました。ここでは逆にパフォーマンスの効果性にそれほど影響がなかったことをまとめていきます。

  • 働く場所(同じオフィスで近くに座って働くこと)
  • 合意に基づく意思決定
  • 外交的であること
  • 個人のパフォーマンス
  • 仕事量
  • 先任順位
  • チームの規模
  • 在職期間

上記内容がGoogleのチームの効果性に大きな影響を与えていなかったことは事実ですが、すべての組織で同様というわけではありません。その点には注意が必要です。

心理的安全性を高めることが重要

Googleが発見した、チームのパフォーマンスを上げる5つの力学のうち、圧倒的に重要なのは心理的安全性です。心理的安全性の高いメンバーは離職率が低く、他者のアイデアをうまく利用でき、収益性が高く、「効果的に働く」とマネージャーから評価される機会が2倍多いという特徴がありました。

チームの心理的安全性がどの程度のレベルであるかを測る際に、下記のようなことが自分自身にやチームメンバーに当てはまるかを考えます。

  1. チームの中でミスをすると、非難されるか?
  2. チームメンバーは、課題や難題を指摘し合えるか?
  3. 自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがあるか?
  4. チームに対し、リスクのある行動をしても安全か?
  5. チームメンバーに助けを求めることは難しいか?
  6. チームメンバーは、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をするか?
  7. 自分のスキルと才能が尊重され、生かされていると感じるか?

また、個人でできるチームの心理的安全性を高めるための取り組みに下記のようなことがあります。

  1. 仕事を実行の機会ではなく、学習の機会と捉える
  2. 自分が間違えるということを認める
  3. 好奇心を形にし、積極的に質問する

パフォーマンス向上に向けた取り組み

ここではチームの効果性を生み出し、育み、強化するための取組を紹介していきます。効果的なチームの特徴は組織によって異なりますが、取組を共有するステップとしてGoogleでは以下のことが推奨されています。

共通認識を持つ

組織内で培いたい、「チームが取るべき行動規範」を定義します。

チームの力学について話し合う場を作る

通常は話しにくい話題について、オープンかつ建設的に話し合う場を設けます。

チームの強化と改善にリーダーを巻き込む

リーダーを巻き込むことで、継続的な改善やモデル化を促します。

兄弟

私には弟がいる。

今はなかなか会えないけれど、会えば近況も報告するし、話していて楽しい。

 

小学生の頃は同じスポーツを兄弟で習っていたし、そろばん教室にも一緒に通っていた。

当時は私のほうが年上だったから、スポーツも弟より出来たし、そろばんも進級が早かった。常に追いかけられる立場だったし目標とされる立場であった。

子供ながらにそれが誇らしかったし、実際は弟に対して威張ってもいた。子供の頃はそれが「単純な歳の差」とわかってはいても対して考えもしていなかった。

 

数年後、弟が私の年になった時、当時の私の記録はことごとく抜かれていく。スポーツでも勉強でも。

その当時、私は自分なりには頑張っていた。スポーツも勉強もサボった記憶は無いし、ダメダメだったわけでもない。でもそれだけ。自分なりの頑張ったは、まわりから見たら対して頑張った部類には入らなかったのかもしれない。結果だけ見れば、結果が出ていない分、頑張ったとは言えないのかもしれない。

 

“おっさん”と呼んでいた年代になった今、久しぶりに実家へ帰り、ふと弟の部屋に行くと、難しそうな本や取り組んでいたスポーツに関する本がズラリ。

「あぁ、言わなかっただけで弟はずっと努力を続けていたんだな」と納得。

勉強机には世間的には一流大学と呼ばれる母校の「E判定」の模試結果が貼られていた。

そこから現役でその大学に合格したのだから、相当な努力をしたことは想像つく。

そんな弟は言わないだけで、今でもずっと静かな努力を続けているのだろう。

 

私はそんな弟を誇りに思う。

前を歩いていた自分が、いつしか弟の背中を見るようになった。

素直に尊敬できるから、妬みや屈折した感情はない。

 

でも悔しいわけではないが、それに似た感情は少しだけある。

それは兄としてとかいうわけではなく、私自身が自分に自信を持って行動したと言えることが少ないから。

弟が何かを成し遂げる、結果を出すたびに、自分自身に対して悔しい気持ちになる。

 

漫画『宇宙兄弟』では、兄が一念発起し夢への階段を駆け上がる?(しっかりと読んだことないので間違っていたらすいません。)が、現実はそんなことは到底起きない。

私と弟も、同じステージやフィールドではないし、争う関係にもない。

でも少なくとも私は弟に刺激を受け、色々な場面で「頑張ろう」と思わせてくれる。

 

私も自分なりに目標を持って、しっかりと結果の出せる努力を続けられる人間になりたい。

そう思わせ続けてくれる弟には感謝だ。

直接は言いにくいけど、年末年始に会えるのが楽しみだ。

 

 

ハブ型マネージャーシップとは? 『プレイングマネジャーの教科書』を読んだ感想

先日、人事異動の辞令が出て、仕事での役割が、プレーヤーからプレイングマネジャーへと変わりました。いわゆる中間管理職というものです。

今までと比べ、役割ややり方などがガラッと変わり、まだ地に足がついていない感覚です。今まではプレーヤーとして、自分の顧客に対する仕事のみをすれば良かったのですが、立場が変わるとそういうわけにはいかず、自身がマネジメントする組織全体のパフォーマンスの発揮が求められるようになりました。

しかし、特段「どのようにマネジメントしていくのか」といった研修もあるわけでもなく、いきなり今までとは違う成果物を求められる。突然戦場に投げ込まれた感じです…。

自分なりに試行錯誤するしかないので、先輩上司にアドバイスを求めたり、自身でプレイングマネジャーについて勉強してみることにしました。

今回勉強させていただいたのは

田島弓子さん著『プレイングマネージャーの教科書』です。

プレーヤーでもなくマネージャーでもない、「プレイングマネージャー」について書かれていそうだったため購入しました。マネジメント専門のマネージャーだと、なかなか内容が実務に合致していなかったりする箇所もありそうだったので、このタイトルに惹かれました。

 

この本を一言で表すのなら?

「プレイングマネジャーの仕事=コミュニケーション」

プレイングマネジャーとは、いわゆる中間管理職。チーム内や各課、部門、社内外の間に入り、調整役としての役割を求められることが多いです。仕事がスムーズに流れ、チームパフォーマンスが大きく発揮できるように、中間管理職がハブ(複数のパソコンを繋ぐネットワーク機器のようなもの)として機能する必要があります。

そのために必要なのは、「強力なリーダーシップ<ハブ型マネジャーシップ」です。そしてハブ型マネジャーシップに欠かせないのが、コミュニケーションなのです。

特に印象に残った部分

コミュニケーションを仕事のツールとして捉える

①話しかけられ上手になり、引き出し上手に!

部下や周りから、「いつでも話してきていいよ」、と思われる雰囲気を演出することがまずはベースとなります。そのためには、いつも余裕なく焦っていたり仕事に追われている素振りは禁物です。

「相手が何でも話してくれるようになること=引き出し力」です。コミュニケーションで大切なのは「聞くこと」だとはよく耳にします。聞くことに徹することで、相手が何でも話してくれるようになり、円滑なコミュニケーションが可能になるようです。

②ハブ力

異なる価値観を持つ世代間や上下の世代の意思疎通をはかる、「ミドル・アップダウン」こそが、プレイングマネジャーの大きな役割だとしています。そのためにはコミュニケーションスキルは欠かせません。世代間・役職間の通訳の達人となり、多くの人の相談役になることが必要です。「相談役=信頼される人」です。つまりビジネスチャンスを含めた多くの情報が集まってきます。このようにコミュニケーションの通訳をポジティブに捉え「ハブ」という役割に取り組んでみるといいかもしれません。

③根回し+場回し

コミュニケーションが機能する条件は、「相手をよく知り、自分がまず動き、

場回しする」の3つのようです。「場回し=チームメンバーが自発的に動くための環境づくり」です。

ではどのように場回しを行うのか、プロセスを見ていきます。

  1. 根回し:利害関係が対立していても、各部署とコンセンサスを図っておく
  2. 突破口となる:先陣を切りクライアントに提案することで、チームで動く空気を作ります。
  3. 情報共有:動いて得た情報を共有。
  4. 道筋をつける:メンバーが自然と自発的に動くようにする。

根回しと場回しをセットはプロジェクトのインフラになります。そこにコミュニケーションという”電力”や”水力”が絶えず流れるようにすることで、チームとしてのパフォーマンスが自然と上がっていきます。

コミュニケーションの即効フレーズ

とにかくプレイングマネジャーは忙しい。そのような日常業務の中で、”5秒でできる”

フレーズ集がまとめられていました。

仕事におけるコミュニケーションとは、「たまの名台詞」<「日常会話の積み重ね」です。「話しかけられ上手」「聞き上手」となり、部下から「話したい」と思ってもらえるように、こまめなコミュニケーションが必要となります。

これからご紹介する即効フレーズの目的は大きく3つです。いずれも”業務そのもの”に焦点を当てているのが特徴です。

即効フレーズの目的

  1. モチベーションアップ
  2. 業務の円滑化を目指す
  3. 情報の流通を促す

”5秒コミュニケーション”即効フレーズ

①「おはよう!」〜あいさつは上司から〜

上司としてコミュニケーションがスムーズにいくよう、朝からチームの空気を温めます。「おはよう!」に続けて「調子はどう?」「順調?」などと付け加えることで、「あなたのことを気にしています。問題があればいつでも相談にのる用意があります」というメッセージも伝わります。

②「最近どう?」〜”いつでも話を聞く”という雰囲気作り〜

プレイングマネージャー自身が”チームの一員”だち思っていても、部下にとっては”常に上司”です。つまり常にタイミングを見計らい話しかけてきます。部下からのSOSやトラブルを聞き逃すと、業務運営上のリスクが高くなります。

「最近どう?」と投げかけることで、「いつでも気にかけている。いつでも話をしてくれていい」という”空気”を醸成できます。

③「今はダメだけど〇〇からなら時間があるよ」〜「話を聞く用意はある」と伝える〜

プレイングマネジャーの最大の悩みは、「時間がない」ことに尽きます。いくら話を聞くことが大切かを理解していても、現実では忙しくて手が離せないこともあるでしょう。そのような時に「今はダメだけど〇〇からなら大丈夫」と伝えましょう。部下からは話しかけにくいので上司から具体的な代替案を出します。そうすることで部下は上司の「話を聞く用意がある」というサインを受け取り、安心します。上司が忙しいのと同様に部下も忙しいのです。信頼関係を損なわないようにし、お互いの時間を効率よく使う工夫が込められた言い回しです。

④「いい話?悪い話?」〜悪い話を即座にキャッチするフレーズ〜

部下が悪い報告をするときは、相当な重圧の中で話をしてくれます。そんな部下にはストレートに「いい話?悪い話?」といつもの口調でライトに聞きます。この時に詰問調にならないよう要注意です。このフレーズを言うことで、部下が悪い話を話しやすい空気にできます。悪い話ほど初期対応が重要です。「悪い話は迅速に伝えることが大事」ということを部下に理解させ、部下が行動しやすくなるコミュニケーションを日常的に取れるようになることがプレイングマネジャーが仕事を全うできるか否かのポイントになります。

感想

「コミュニケーションが大切」とはよく聞きますが、何をどうしたら良いコミュニケーションが取れるのかは、理解が追いついていませんでした。この本を読んで、日頃の何気ない会話を大切にしなければと思いました。

恥ずかしながら、特に上司である自分が「忙しい」という空気感を出し、部下や周りにそのような空気感を感じさせてしまっている自覚があるので、まずは部下にそう感じさせないようにしていきます。

このあたりの雰囲気作りは、Googleが公表している「パフォーマンスの高いチーム」の条件となる「心理的安全性」にも共通している部分なのかな、と感じました。プレイングマネジャーのコミュニケーションが、チームのパフォーマンスにも大きく影響していくものだと自覚し、この本で学んだことを仕事に活かしていきたいと思います。

 

良いマネージャーとは? Googleの最適解「プロジェクトoxygen」に学ぶ


マネージャーの仕事とはどういうものなのでしょうか。

最近、社内で私の昇格人事が検討されているとの話を聞きました。仮に昇格ということになれば、現在のプレーヤー的なポジションからマネージャーのポジションへと変更となります。

今までも役職が変更になったことはありましたが、プレーヤーという大きな枠組みの中での変更であり、働き方自体が変わるという経験は今回が初めてです。

仕事の内容については今までの上司を見ているとなんとなくイメージはつきますが、実際に組織を束ねパフォーマンスを出すことに手法というか考え方とはどのようにすればいいかという部分が曖昧なままです。社内研修もあるということですが、いまいち期待できないというのが本音です…。

そんなことを考えていると、あのGoogleが「良いマネージャーとは、どういう人か?」ということを調査したプロジェクトがあることを思い出しました。その名も「プロジェクトOxygen」。

Googleといえば巨大企業ですが、創業は1998年です。わずか四半世紀で社会のインフラ的なサービスを提供し、人々の生活に欠かせない企業となっています。社員数も10万人超と、世界中に社員を抱えて、様々な組織が混在しています。一気に巨大企業への階段を駆け上がってきた背景には人事面などでも、従業員のパフォーマンスを発揮させたり、組織をうまく持続させていくための、相当な工夫がされていたのではないかと思います。

私が勤める会社とは、社風や一人ひとりの能力はもちろん大きく異なりますが、参考にしてみようと思いました。

プロジェクトOxygenとは?

Googleが2009年に実施した社員を対象とした大規模調査を指します。このプロジェクトでは「優秀なマネージャーとはどういう人物か?」ということを、Googleの社員向けに調査しました。

調査内容は人事効果やフィードバックサーベイ、表彰、その他のリポートなどから、マネージャーに関する1万件に及ぶデータを収集し、仮説と検証を重ねたものです。

 

Googleの答え

優れたマネージャーの行動規範

  1. 良いコーチである
  2. チームにまかせ、マイクロマネジメントはしない
  3. チームの仕事面の成果だけでなく健康を含めた充足に配慮し、インクルーシブ(包括的)なチーム環境をつくる
  4. 生産性が高く、結果を重視する
  5. 効果的なコミュニケーションをする(人の話をよく聞き、情報を共有をする)
  6. キャリア開発をサポートし、パフォーマンスについて話し合う
  7. 明確なビジョンや戦略を持ち、チームと共有する
  8. チームにアドバイスできる専門知識がある
  9. 部門の枠を超えてコラボレーションを行う
  10. 決断力がある

Google re:workより引用

以上がGoogleが導き出した「優れたマネージャーの行動規範」です。しかし「この行動規範がすべての企業に当てはまるとは限らない」ともしています。大切なのは「企業で働く従業員がパフォーマンスを発揮させるためには、どのようなマネージャーが必要だと考えているのか」を特定することです。

確かにこのGoogleの答えが、我社の社風や文化に馴染んでいくかは不透明です。今までこのようなことをする上司はいませんでしたし、聞いたこともない…。ただ「こんな上司がいたらいいな」とも思います。そう思える以上はチャレンジする価値があるかもしれません。まずはやってみて自分なりに試行錯誤を重ね、アレンジしていきたいと思います。

さらにGoogleではこの10個の項目について、掘り下げた研究結果を公開しています。次からは個別項目について見ていきます。

 

行動規範1:良いコーチである

「評価の高いマネージャーは優秀である」ことが求められます。マネージャーが良いコーチとなるには、チームメンバー各々のニーズに焦点を合わせていくことが重要です。そのために必要は手法として以下の項目を上げています。

  • 定期的に1対1ミーティングを行い、チームメンバーの話に耳を傾ける
  • 自分の考え方とチームメンバーの考え方に違いに注意する
  • アクティブ・リスニングを用いて、メンバー自身の洞察を促す
  • 具体的かつタイムリーなフィードバックを行う
  • 意欲を引き出すポジティブなフィードバックと、発展につながるネガティブなフィードバックのバランスをとり、長所と改善点を理解する

GROWモデルによるコーチン

GROWモデルはイギリスで開発された、コーチングのフレームワークです。コーチングのスタイルをメンバーによって柔軟に調整する重要性を強調しています。部下を自発的に考えさせ、行動させるための気付きと学びのサイクルを回していきます。

「Grow」とは下記の4つの頭文字から構成されています。

Goal(目標の明確化):求めるものはなにか

Reality(現状の把握):何が起こっているか

Option(選択肢の検討):何ができるか

Will(意思の確認):何をするか

対象相手に「Grow」を質問を通じて明確に気が付かせることを目的としていて、マネジメントだけでなく、日常的な問題解決のプロセスにも活用できます。

このGROWモデルを用いて、チームメンバーのキャリアについて定期的にディスカッションすることで、チーム全体のパフォーマンスも向上していきます。

Goal:目標の明確化

チームメンバーがキャリア形成の先に見据えているものを特定します。

  • 「1年後、5年後、10年後の自分はどうなっているか?」
  • 「収入や現在のスキルの制約がないとしたら、どのような仕事に着きたいと思うか?」
  • 「興味、価値を置くもの、原動力となっているものは何か?」
Reality:現状の把握

チームメンバーの現在の役割とスキルを理解します。

  • 「現在の業務で最もやりがいを感じること、また、ストレスを感じることは何か?」
  • 「今の仕事はやりがいがあるか?能力を伸ばせているか?どうすればやりがいを感じられるか?やりがいのない業務はなにか?」
  • 自分の長所と短所について、他の人からどのような指摘を受けたことがあるか?」
Option:選択肢の検討

目標と現状のギャップを埋めるための方法を考えます。

  • 「以前話し合った目標達成のためのスキルを磨くために、今できることは何か?」
  • 「自分を伸ばすために、どのような仕事やプロジェクトに挑戦したいか?どのような経験をしたいか?」
Will:意思の確認

現状から目標に向かうための実現可能なステップを特定します。

  • 「何を、いつまでに行うか?」
  • 「役立つリソースは何か?目標達成のために役立つスキルは何か?」

効果的なミーティングの実施

評価の高いマネージャーは頻繁に1対1の個別ミーティングを実施していたようです。面談には相応の時間を要しますが、早い段階で問題を把握し、対応策やフィードバックを行える機会にもなります。

行動規範2:チームに任せ細かく管理しない

効果的なマネージャーは、チームに権限を与え、成長を伸ばすために、下記の4つの行動を取っているようです。

  1. 細かく管理しない
  2. 自由にやらせつつも、必要に応じて助言をする
  3. チームに対する信頼を明確に示す
  4. チームの成果を周囲に伝える

自分がチームのために働いているのであり、チームが自分のために働いているのではないことを、理解している人こそが効果的なマネージャーであると言われています。

適応・状況のアセスメント、コラボレーション

チームメンバーをサポートする際に、深入りしすぎると「細かく管理されている」と感じさせていしまい、緩すぎると失敗に終わります。チームメンバーの成長によってこのバランスは変化していきます。最適なバランスを保つためには、マネージャーとチームメンバーとの話し合いが重要であるとGoogleは考えています。

チームに権限を与え信頼関係を構築する

Googleの調査結果では、評価の高いマネージャーほど、チームに権限を与え細かな管理はしない傾向にあります。Googleでは次のような方法でチームとの信頼関係を構築していくことを勧めています。

  • 意見を求める
  • イデアや知見を求める
  • 肯定的なフィードバックを行い関係を強化する
  • リーダーを育てる
  • 各チームメンバーの能力を伸ばす
  • チームメンバーにコーチングする
  • オープンなコミュニケーションを推奨する
  • チームメンバーへの信頼を示す

上手に任せる

適切なチームメンバーに適切なプロジェクトを任せることは難しい場合もあります。しかし効果的なマネージャーほど権限や責任、意思決定を個人やチームに委ね、仕事を任せる傾向にあるようです。任せる範囲を定め、適切にサポートできるようなポイントとしては下記を挙げています。

  • 目標を見据える(最終目標を達成するにはどうすればいいか、どこを任せられるか)
  • 自身を見つめる(任せられる部分とそうでない部分。自身の得手不得手)
  • 適任者を見出す
  • 委任する
  • 連絡を取り合う(絶えずコミュニケーションをとり確認する)
  • 感謝する

行動規範3:チームの仕事面の成果だけでなく健康を含めた充足に配慮し、インクルーシブ(包括的)なチーム環境をつくる

行動規範6:キャリア開発をサポートし、パフォーマンスについて話し合う

効果的なマネージャーは仕事の面だけでなく、個人的な面においても、メンバーを気にかけていることが明らかになりました。

仕事面ではフィードバックを提供したり、成長する機会を見極めたり、スキル向上に焦点を当てたりしながらチームを作り上げていきます。マネージャーは現在の職務における昇格のみに重点を置くのではなく、同じような影響をもたらす別の機会をも視野に入れるようチームを指導しています。

個人的な面では、マネージャーとしての成功には各チームメンバーのそれぞれの満足感に配慮することが不可欠であるとしています。部下から高く評価されるには、部下への配慮を示し、それを伝える必要があります。

キャリア形成に役立つ話し合いをする

Googleではマネージャーと部下がキャリアについて定期的(4半期に1回など)に話し合うことを推奨しています。その際に次の点について事前に考えておきます。

  • チームメンバーのパフォーマンスと実績
  • メンバーが楽しいと感じる仕事
  • メンバーが得意とする仕事
  • メンバーの現在の仕事
  • 組織がメンバーに求めていること
  • 最も改善するべきエリア
  • キャリア形成に関してメンバーが必要とするサポート
  • 自身の価値を知ってもらうためにできること

GROWモデルを用いた話し合い

キャリアに対するディスカッションについては、先述している「GROWモデル」を用いることで、マネージャーとチームメンバーとの話し合いが円滑になります。

「シンプルな一つの目標」を設定する

従業員の満足度を高めるために「シンプルな1つの目標」を設定しています。チームメンバーがワークライフバランスを保てるような目標を設定し、マネージャーは、各々がその目標を達成できるようサポートします。

共感と思いやりについて理解する

マネージャーがここのチームメンバーに対してそれぞれに対する気遣いを示すことが重要と考えています。そのために相手に対してどのように共感し、思いやりを持てば良いかについて、マネージャーが理解することが大切です。それにはまず、共感と思いやりの違いを知る必要があります。共感とは、「他の人の立場と感情の状態を感じる能力」です。思いやりはもう一歩踏み込んだ感情で、「他の人の不安に共感したうえでそれを和らげたいと思う気持ち」です。

過度な共感は、共感する側にストレスを与えて消耗させる一方、思いやりは気遣い・温かみ・モチベーションとなることがわかっています。

ではマネージャーがどのように思いやりの気持ちを育むかのヒントを次に書いていきます。

  • どのようなサポートが必要かを聞く。求められていることをわかったつもりにならない。
  • チームメンバーとの共通点を探す。
  • チーム内では競うことではなく、協力することを推奨する
  • メンバーに対し、心から関心を持つ
  • 思いやりのある振る舞いを浸透させるために模範を示す。
  • 相手に過度に思い入れることは避け、協会は明確にする

行動規範5:効果的なコミュニケーションをする

行動規範7:明確なビジョンと戦略を持ち、チームと共有する

評価の高いマネージャーの特徴の一つに、ビジョンの設定があります。明確なビジョンを有していることは様々な点で役に立ちます。具体的にはビジョンを有することで、「チームを成功に導くことができる」、「チームメンバーの目指すべき方向性を伝えられる」、「チームがやるべきことを選択する際の判断材料となる」、といった重要な意味を持ちます。

ビジョンを設定し、それを効果的にチームに伝える必要があります。その際は口頭や書面で、明確・簡潔・率直に伝えることがポイントです。

チームとビジョン設定を行う

チームと協力してビジョンを作成するには、どうすればいいのかを考えていきます。

コアバリュー

コアバリューとは、チームの基盤となる信念を意味し、チームのパーパスとミッションとを導き出します。

パーパス

チームの存在理由とチームが組織全体に与える影響です。パーパスが存在しなかった場合にどのような影響があるかを考えます。

ミッション

達成しようとしている目標を表します。

ストラテジー

ミッション達成のために将来にわたって展開する手段を意味し、長期にわたる場合があります。

ゴール

ストラテジーを短期的で達成可能な目標へと落とし込んだものです。チームの取組を一つにまとめる働きがあります。

リフレクティンブ・リスニングを行う

リフレクティング・リスニングでは、相手が表に出した言葉や気持ちを聞き、それを自分の言葉に置き換えて繰り返します。これにより効果的にコミュニケーションが取れるようになります。

ポイントは、「気持ちを受け入れる」、「不明確な点から相手の視点を明確にする」、「受け入れて共感する」です。

フィードバックを行う

マネージャーにとって最も重要で難しいものの一つが、チームメンバーへのフィードバックです。Googleではフィードバックを実施する際に、次の点に考慮しているようです。

  • 質の高いフィードバックを提供する
  • 基準に一貫性を持たせる
  • 思い込みを避ける
  • 自分を正しく理解してもらう

行動規範4:生産性が高く結果を重視する

行動規範8:チームにアドバイスできる専門知識がある

効果的なマネージャーは、チームが具体的な成果を上げられるようにサポートすることを重視しています。マネージャーの重要な役割の1つはチームメンバーに起こりうる障壁を予測し、取り除くようにサポートすることです。

専門スキルを持つマネージャーは、チームメンバーに寄り添い、その力を発揮することで、信頼できるアドバイザーとなります。これにより自らのスキルを向上し続けられると同時に、マネージャーが単なるリーダーではなく、チームのいちメンバーであるという重要なメッセージを伝えることにもなります。

効果的なマネージャーは「自分はチームのために働いている」のであり、その逆では無いことを自覚しています。

結果を重視して、生産性を維持する

効果的なマネージャーがチームの生産性を維持し、結果を出すために行っていることを以下にまとめます。

  • チームに常に結果を重視させる
  • チームによる優先順位をサポートする
  • 障壁を取り除く
  • 誰が何に取り組んでいるかを明確にする
  • 懸命に働き、チームの指針となる

チームと共に働くことで生産性を上げる

マネージャーはチームにとって信頼できるアドバイザーでもあります。その多くが各分野の深い専門知識を備えており、自らの知識を生かしてチームメンバーが創造的な解決策を考え出せるようサポートします。具体的には下記のようなことを行っています。

  • チームの傍らで懸命に働く
  • 問題点を把握する
  • 専門知識とスキルを活かして問題解決をサポートする

チームとともに仕事に取り組むことで、マネージャーは自分の知識をチームに示すことができます。また、自分のスキルアップにも繋がります。そして重要なのは、メンバーの仕事に加わることで、マネージャーが単なるリーダーではなく、チームに参加しているというメッセージを伝えられる点です。マネージャーがチームのために働いている姿を見せ、チームメンバーにその姿を伝えることが大切です。

感想と活かせそうなポイント

ここまでGoogleで重要視されているマネージャーのポイントをまとめてきました。いや〜、これがすべて出来ればスーパーマネージャーになれそうな気がしました。今の私とは次元が違いすぎる…。

前向きに考えれば、その分学ぶべきことや参考にするべきことが多いということですね。マネージャーというポジションになる以上、今までのような個の成績ではなく、チームとしてのパフォーマンスを最大限に発揮できることを心がけるようにします。

ここに書いてあるやり方が、すべての組織に当てはまるわけでは無いので、自分なりに試行錯誤しながら、自分や組織に合ったやり方を作っていきたいと思います。

今回の件を通して、他にもGoogleがどのような取組をしているのか、興味が湧いたので、本なども読んで、こちらでご紹介していければと思いました。

 

より詳しく見てみたい方は、こちらのサイトをご参照ください。

rework.withgoogle.com

『うまくいっている人の考えかた』を読みました。感想と今後活かせそうなポイント!

最近は「自己啓発書」のようなビジネス書はあまり機会が有りませんでしたが、スキマ時間に読書をしようと思い立ったものの、すっと頭に入っていく内容のものでないと、細かな時間で自分なりに理解するのが難しく、「その時間に合う本がないか」とコソコソと考えていました。

そこで出会ったのが、今回ご紹介する『うまくいっている人の考え方』という本です。作者はアメリカの方で、特に自尊心(自分を大切にしようとすること)の研究を行っているとか。

私もなにか問題が起きたときや、うまくいかないときは「自分のせいだ」と自分を責めることが多いです。しかしその自責は「自分の責任だと表面的に反省しているふりをして、その時の反省具合に比べて、その後の改善が弱いな〜」と感じていたのです。本当に必要なのは、「反省した後」であり同じようなミスを、「どう防ぐか」ということでした。そんなきっかけになればな〜と思いこの本を読みました。今回はAmazonKindleにて読みました。

この本を読んだ感想と、自分にとって「これは今後に活かせそう!」と印象に残ったポイントをまとめていきます。

 

この本を選んだ理由

  1. 家庭と仕事に追われ、どちらもうまくいっていない
  2. 自分で自分が嫌になる
  3. 自身のマインドを変えたい

子供が生まれ、今まで通りの働き方では家族にも迷惑がかかる。かといって、仕事の質を落としてまで早く帰ることを優先すると職場に迷惑がかかる。どうしたらいいのか…。と毎日毎日悩んでいました。そんな状況を打破したいと思いこの本を読んでみようと思いました。

この本の結果だからなのか、今では以前よりも早く退社しながら、営業成績は以前と同水準をキープできております。この結果、この本のおかげで、私の生産性が向上した気もします。この本は「こう行動するべき」といったハウツー本ではなく、「物事に対する向き合い方」「マインド」に対するアプローチを行う内容です。私の悩みについても、少なからず「私自身の心の持ちよう」も原因だったのかな、と今も思います。

 

内容を一言で表すと

「自分にもやさしく」

自尊心を研究しているという著者ということもあり、全体的に「うまくいかなくても、必要以上に自分を責める必要はないよ」と優しく寄り添ってくれます。他責よりも自責が強い人のほうがストレスを抱えやすいのかもしれません。

「他人のために頑張りすぎるのではなく、まずは自分を一番大事にしようね」と、全体的にポジティブ思考で、今の頑張っている自分を認めてくれるような印象でした。

 

『うまくいっている人の考え方』ポイント3つ

1.自分のしたいことをする

自分の人生を変えられるのは自分だけです。時間は有限です。その時間をどう使うかは人それぞれ。かといって、「自分勝手に生きる」というわけではありません。自身の人生で重要なこと、大切にしていることに時間を使うべきと感じました。他人の目を気にし過ぎて、自分のやりたいことが他にあることに気がついていながら、他人の求める行動を取ってしまったり、いざ自由な時間ができても、気を抜くとスマホSNSをダラダラと見たりと、楽な方へ流されてしまう怠惰な自分への喝にも感じました。

2.他人の思い通りにならない

他人はわたし達以上にわたし達の人生に興味はないということです。なので、自分を押し殺してまで他人を優先する必要はありません。同じくらい自分の意志や考えを大事にする必要があります。私は他者からの目や評価を気にしてしまうタイプなので、これは意識的に取り組まなければと思いました。ただ、礼儀正しさやさわやかな態度などは心がける必要があります。自分のしたいことを犠牲にして他人を喜ばせる必要はないということです。

3.自分の人生を歩く

1日に30分でも経済や家族のしがらみを無しにして、自分が何をしたいのかを考える時間を作ることが大切だとありました。「人生の目標」や「自分がどうありたいか」を真剣に考えることで、自らの行動の指針となりモチベーションにも繋がります。なんとなく過ぎ去ってしまう日々を振り返るという意味でもいいのかもしれません。

 

その他印象に残った部分

他人に対する悪い感情はさらっと忘れる

私は嫌なことがあっても、自分の中で芽生えた強い憤りを黙殺していることが多いです…。しかしその出来事が起きてからしばらく、その怒りを解消するまでに時間がかかります。それが非常に不毛な時間だということを理解していても、その感情をうまく解消できていない状況に対して、さらにストレスに感じてしまします。このようなマイナスの感情はすぐに忘れ、気持ちを素早く切り替えしたいものです。

感謝・褒め言葉はその場で口にする

恥ずかしながら、なかなか言えていません…。言って悪い気分になりませんし、自分もされたら嬉しいことです。自分がされて嬉しいことは人にも率先して行いたいです。

耳の痛いことを受け入れる
建設的な批判に対して、素直に受け入れましょう。むやみに反発したり相手を批判するように切り替えしてはダメです。よく聞くことですが、それだけ大切なことなのでしょう。しかし「よし、やろう」と思ってすぐに実践できるものでもない気もします。著者は、実践するには「自尊心が大切」とあります。やはり何をするにもまずは自尊心を育てることが大切なようです。

 

感想

「ますは何をするにも自尊心が大切」という印象でした。確かに自分に優しくできないのに、人にやさしくできるはずもないな、と納得する部分もありました。そして仕事ができるイケてるビジネスパーソンは、どこか全体的に余裕を感じることが多いです。その背景にも自尊心が関係しているのかもしれません。

そのほか、断る重要性についても書かれています。うまく仕事を回す、自分の時間を確保するためには、やはり断る力が必要なのかもしれません。このあたりは『エッセンシャル思考』にもある内容でしたので注目でした。

この本に書かれている内容を意識して、まずは自尊心を育てることから始めてみようと思います。

 

内容

人生がうまくいっている人の特徴は「自尊心」が高いことだと著者はいう。自尊心とは、自分を大切にしようとする心だ。自尊心のある人は常に自信に満ちあふれ、失敗やまちがいを犯しても、それを前向きにとらえて次のステップの土台にする心の余裕がある。人生のほとんどすべての局面に自尊心は大きな影響を与えることになる。
本書で著者は自尊心を高める方法を100項目紹介している。これを読めば、自信を身につけ、素晴らしい人間関係を築き、毎日が楽しく過ごせるはずだ。
どこから読んでもいい。そして、できることから実践しよう。あなたはもう、うまくいっている!Amazonより

著者紹介

著者 ジェリー・ミンチントン
Jerry Minchinton
アメリカの著述家。多年にわたり経営者としてビジネスに携わるうちに「人が自尊心を高め、自らの価値を確信することが、人生における成功や幸福に直結する」ということに気づき、
自尊心に関する研究をおこなう。著書は本書をはじめ『心の持ち方』『じょうぶな心のつくり方』など多くが日本でベストセラーになっている(いずれもディスカヴァー刊)。

Amazonより

 

 

製造業の財務分析 業種別分析ポイント②

業種別の財務分析のポイントとして前回は卸・小売業を取り上げました。第2弾は製造業について書いて参ります。

www.magta.net

在庫に着目した分析

売上総利益の低下は製品競争力の低下

売上総利益率は製品の競争力を表しているとも言われます。製品自体の競争力が低下すると、今まで通りの価格では販売できなくなるため、販売価格を下げることになり、結果として、粗利が低下します。

棚卸資産回転期間の長期化は製品競争力の低下

在庫の動きは製品の競争力や製造能力の帰結であり、「メーカーとしての本質的な競争力が表れる」との見方があります。

 

上記の2点に該当する場合には、既存製品の競争力低下は顕著であり、今後の事業を支えるべき付加価値の高い新製品の開発が必要となります。

 

生産現場との関係性

製造業の場合には、財務分析のみならず生産現場(工場)の生産性の分析も重要となります。

現場の留意点

一般的なポイントは下記のとおりとなります。

  • 整理整頓状況
  • 材料・仕掛品・製品在庫の多寡・保管状況
  • 不良品の量及び管理状況
  • 現場行員の作業態度
  • ノウハウの蓄積・独自の技術

これに加え、「各製造現場の役割」が明確となっており、「受注上の決め手は何か」、「製造現場の特徴や強みを強化するための具体的な施策は行っているか」といったことも重要になってきます。

 

企業の事業基盤や生産能力によって、状況は異なるため一概には言えませんが、自社の財務と現場の上記のポイントをチェックした後に、「納期遅れの割合とその原因」や「操業度の変動とそれに対するオペレーション(固定費合理化や労働分配率)」、「不良率の推移と発生原因」などに焦点を当てた分析を行うとより深い分析が可能となります。

 

卸・小売業の財務分析 業務別分析ポイント①

前回は「財務分析」という大きな視点で、分析方法や指標について書いていきました。今回からは、業界別により詳しくご説明してまいります。業界ごとに決算内容の特徴や、金融機関からの目線も異なるため、自社が属する業界の特徴を抑えたうえで分析することでより精度や確度を上げることに繋がります。

今回は「業務別分析ポイント①」ということで、卸・小売業界の財務分析の着目点について書いていきます。

業界特色

卸・小売業界の中小企業者の経営環境は厳しい

かつて高度成長期においては、中小の卸・小売企業は需要の拡大を背景にした、市場全体の成長により大きく利益をあげ成長していました。

しかし最近では「消費の多様化」「競争の激化」「インターネット通販の台頭」などにより、「勝ち組」と「負け組」の明暗がはっきりと分かれるようになりました。後者の企業については後継者不足もあり、今後急速に淘汰が進む可能性があります。

このような事業環境下において、企業の生き残りの方向性を考えた場合、商品開発力や仕入れコストについては大規模企業のスケールメリットが圧倒的に優位であり、中小企業者の不利は多くある状況です。

そのため、大手とは異なる特色を打ち出すことが必要になります。しかし「言うは易し行なうは難し」です。市場や自社の状況を正しく把握すること、事業環境に応じた商品管理体制を構築することが必要になります。

財務分析のポイント

まずは「実態財務諸表」の作成が重要なポイントです。実態財務諸表を作成し、課題を洗い出し、掘り下げて分析していきます。

卸・小売業における金融機関の目線では、粉飾決算の観点からも「売上債権」と「棚卸資産」が注目されます。

小売業の回転差資金

回転差資金とは?

仕入代金の支払期日が売上代金の回収期日より先であるために生じる余裕資金をいいます。貸借対照表で表すと、「売掛金<買掛金」の状態における差額です。主に小売業においては、日々の現金商売による売上があり、仕入れについては掛けであるために発生します。

この回転差資金は、売上が増加すると増えますが、売上減少局面では大幅に減少し。手元流動性がないと資金繰りに窮します。

回転差資金の戦略

商品仕入の支払期日をできる限り伸ばすことで、余裕資金を生み出し、業容を拡大していく方針です。

資金の調達方法としては、「利益(内部留保)」・「金融機関借入」・「増資」などがあります。「利益」は相当金額が納税や配当に回さざるを得ず、「借入」は金融機関の影響力が増し、「増資」は実質的な調達コストが高くなります。

回転差資金を活用することは、コスト・自由度の両面において有利な資金となるため、売上が拡大する成長期においては自ずと役割が大きくなります。

回転差資金のリスク

回転差資金による戦略が成り立つのは、売上が右肩上がりに伸びている成長局面です。

売上減少期には回転差資金がマイナスとなり、手元資金に余裕がないと大きな事業リスクを負うことになります。

多店舗展開の戦略

店舗展開の合理的判断

多店舗展開における投資評価は「投資金額」と「獲得キャッシュフロー」、つまり投資とリターンの関係として判断することが重要です。

損益計算書だけの判断で、「当期純利益」がプラスとなっている状況での撤退の判断は難しいです。

しかし、キャッシュフロー計算書をもとに冷静な分析を行うと、設備投資の効率について見えてきます。毎期黒字計上であっても「フリーキャッシュフロー」が多くの期でわずかなプラスもしくはマイナスとなっている状況では、設備投資が業績向上に結びついていないことになります。多店舗展開時におけるフリーキャッシュフローの不足原因は、「有形固定資産の取得による支出」とそれに伴う「棚卸資産の増加」が大きいと考えられます。このため資金の捻出については「借入金の増加」「現預金の取り崩し」により資金不足を賄わざるを得ないことになります。

このような状況下において、この企業が売上減少局面に陥った場合、先程の回転差資金が逆回転し急速な資金減少に見舞われることがあり注意が必要です。

このようなことが起きないように、店舗展開には「投資とリターン」の合理的判断が必要となります。

設備投資とキャッシュフローの関係

一般論として設備投資は「営業活動によるキャッシュフロー」の範囲において行われるのが望ましいと言われます。その範囲を超えた積極投資は企業規模拡大のスピードが非常に早い反面で借入金が急速に拡大します。

そのため、拡大志向を継続し積極的な設備投資を続けていくためには、キャッシュフローの改善が極めて重要となります。

在庫管理の徹底

順調に売上が拡大している状況では、回転差資金も大きく生み出されます。反面、何らかの事情により規模拡大にブレーキがかかり、売上減少局面となった場合には急速な資金不足となる懸念があります。

よってキャッシュフロー改善には、在庫管理(売れ筋管理)の徹底による運転資金の節約が、拡大路線を維持するうえで重要なポイントとなります。

 

 

今回は小売業・卸売業の特徴と財務分析について書きました。

業種柄、現金商売のため経常的な運転資金は少なくてすむものの、売上減少局面においては回転差資金が逆回転し急速に資金が減少します。そのため日頃から自社の財務をモニタリングし、柔軟に戦略を練っていくことが重要であると感じます。